はじめに:やる気と快感の源「ドーパミン」
東京都文京区本郷三丁目Personal training studioカメシチ、管理栄養士&ピラティストレーナーの吉田尚弘です。
「やる気が出ない」「甘いものや買い物に走ってしまう」――そんな気持ちの背景には、脳で働く神経伝達物質 ドーパミン が関わっています。ドーパミンは「やる気ホルモン」とも呼ばれ、学習意欲や集中力、運動の楽しさ、さらに食べたり買い物したときのワクワク感まで左右する存在です。
けれど、私たちの行動を突き動かす力である一方、過剰に求めれば「依存」につながることも。では、ドーパミンはどのように作られ、不足するのはなぜなのか。そして、健全に分泌させるには何をすればいいのでしょうか。
1. ドーパミンはどのように作られるのか
ドーパミンは毎日の食事から得られる たんぱく質 から作られます。肉や魚、大豆、卵などに含まれるアミノ酸「フェニルアラニン」が出発点となり、順に「チロシン」「L-ドーパ」へと変換され、最終的にドーパミンに。
ただし、この合成には鉄、ビタミンB6などの栄養素が欠かせません。材料とサポート役の両方が揃ってこそ、ドーパミンは安定して合成されます。偏った食事では「作りたくても作れない」という事態に陥ってしまうのです。
フェニルアラニン
↓(葉酸、鉄、ナイアシン)
チロシン
↓(葉酸、鉄、ナイアシン)
L-ドーパ
↓(ビタミンB6)
ドーパミン
2. それでも不足してしまう理由
十分に栄養を摂っているつもりでも、「やる気が出ない」と感じるのはなぜでしょうか。
理由の一つは 慢性的なストレス。ストレスホルモンのコルチゾールが増えると、脳の神経伝達物質の合成が阻害されやすくなります。さらに、睡眠不足が続けば脳の回復が間に合わず、ドーパミンのバランスが崩れてしまいます。
参考サイト 心理社会的ストレスがドーパミン機能と急性ストレス反応に及ぼす影響
そして、胃酸の分泌が弱く、たんぱく質をうまく分解できない場合。
せっかく肉や魚を食べても胃酸が出ないと分解されず、吸収率が下がります。
また、スマホやSNS、ジャンクフードなど「瞬間的に快感を与える刺激」を繰り返すと、ドーパミンが大量に消費され、かえって不足感が強くなるという悪循環も生まれます。
3. 食行動に隠されたドーパミンの罠
ストレスから「お腹はいっぱいなのに甘いデザートが欲しい」――これもドーパミンの作用です。糖質や脂質の多い食品は脳の報酬系を強く刺激し、一時的にドーパミンが大量に分泌させて幸福感を生み出します。

ただし、その快感は長続きせず、また欲しくなるというサイクルを繰り返します。気づけば食べすぎや間食の習慣に結びつくのも、ドーパミンによる強化作用の結果なのです。
4. 買い物とドーパミンの関係
同じことは購買行動でも起こります。セールで商品を見つけたときや、限定品を手に入れたとき。さらにはネットショッピングで「注文完了」のボタンを押した瞬間。
実は、最も強くドーパミンが分泌されるのは「買った後」ではなく「買う前のワクワク感」。そのため爆買いは一時的な高揚感を生みますが、すぐに薄れ、また次の刺激を求めるというループに陥りやすいのです。一瞬の快楽です。ただ、買い物を続けていると最初のころのような高揚感は薄れていきます。
5. 自然にドーパミンを分泌させる方法
では、依存に振り回されずにドーパミンを分泌して、爆買いや食べ過ぎを抑えてダイエットの成功につなげるにはどうすればよいのでしょうか。鍵となるのは、自然な分泌を促す習慣です。
- 運動習慣を持つ
ジョギングや筋トレなどの運動は、脳の報酬系を健全に刺激します。特に「達成感」とセットになることで、ドーパミンの働きが長続きするのが特徴です。いわゆる「ランナーズハイ」もその一例です。 - 小さな達成体験を積み重ねる
日々のタスクを一つずつクリアする、学習を進める、整理整頓を終えるなどの小さな成功は、自然に脳を喜ばせます。 - 趣味や創作活動に没頭する
音楽を聴く、絵を描く、料理を楽しむといった「集中して楽しめる時間」もドーパミンの分泌を助けます。 - 社会的なつながりを持つ
家族や友人と笑い合う、感謝を伝えるといった交流は、ドーパミンだけでなくセロトニンやオキシトシンの働きも整えます。 - 栄養と睡眠を整える
いくら刺激を与えても、材料が不足していてはドーパミンは作られません。食事と休養こそが土台です。
ダイエットを成功するために、ドーパミンを味方に
ドーパミンは「欲望を掻き立てる物質」であると同時に、「人生を豊かにする原動力」でもあります。食べすぎや爆買いに振り回されるのか、それとも運動や学びを楽しむ力として活かすのか。その違いを生むのは、日々の選択です。
食行動をうまくコントロールするのもドーパミンの作用を上手に使っていきましょう。
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