「鉄分」は貧血対策だけじゃない。ダイエットを含めて体の機能には欠かせない栄養素なのだ。

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はじめに

東京都文京区本郷三丁目Personal training studioカメシチ、管理栄養士&ピラティストレーナーの吉田尚弘です。

世の女性、特に10~40代にかけて起こる症状のひとつに「貧血」があります。多くの場合は「鉄不足」が原因で起こり、「鉄分を含む食品を摂りましょう」といったアドバイスを耳にしたことがあると思います。

しかし、「鉄=血を作るもの」というイメージだけで終わらせてしまうのはもったいない話です。実はこの「鉄」、私たちの体の中では血液だけでなく、脳、筋肉、神経、代謝など、実に多くの生命活動を支えています。

今回は、女性の健康に欠かせない「鉄」について、基本的な役割から不足による影響、そして日常での補い方までをわかりやすく解説していきます。


鉄とはどんな栄養素?

鉄は、体の中に約3〜4gしか存在しません。わずかな量にも関わらず、体のあらゆる働きに影響を与える重要なミネラルです。

体内の鉄は大きく3つの形で存在しています。

  • 機能鉄(約65〜70%):血液中のヘモグロビンの材料として酸素を全身に運ぶ役割を果たします。
  • 貯蔵鉄(約30%):肝臓や脾臓、骨髄にストックされ、必要に応じて放出されます。
  • 運搬鉄(残り数%):血液や筋肉中で酵素反応や代謝に関わる形で存在します。

つまり、鉄は「酸素を運ぶだけでなく、酸素を使うためのエネルギー生産」や「細胞の再生」「ホルモンバランス」などにも深く関わっているのです。


鉄の吸収とリサイクル

食品から摂る鉄には、大きく2種類あります。

  • ヘム鉄:肉や魚など動物性食品に含まれ、吸収率は約23%と高い。
  • 非ヘム鉄:野菜や豆類、海藻などに含まれ、吸収率は約5%と低い。

この数字だけを見ると、「鉄ってすごく吸収されにくいんだな」と思うかもしれません。しかし、体はとても上手に鉄をリサイクルしています。古くなった赤血球を分解して再利用する仕組みがあり、1日に体で使われる約30mgのうち、実際に体外に失われるのはわずか1mgほどです。

ただし、女性の場合はここに「生理」が加わります。月経で20〜30mgもの鉄が一度に失われることもあり、このロスを補いきれないことが慢性的な鉄不足(潜在性鉄欠乏)につながるのです。


鉄の役割は貧血予防だけじゃない

鉄といえば「血を作る」というイメージが強いですが、それだけではありません。以下のようなさまざまな働きを持っています。

  • 酸素運搬:ヘモグロビンとして全身の細胞へ酸素を届ける。
  • エネルギー生産:ミトコンドリア内でエネルギーを生み出す電子伝達系に関与。
  • 筋肉の機能維持:筋肉中のミオグロビンにも鉄が含まれ、運動能力に直結。
  • 免疫機能の維持:免疫細胞の働きをサポート。
  • 神経伝達物質の合成:ドーパミンやセロトニンなどの生成に必要。
  • 皮膚や髪、爪の健康維持:細胞分裂や代謝を助ける。

このように、鉄は単なる「血の材料」ではなく、体と心のエネルギー源をつくるために欠かせない存在なのです。


鉄不足が引き起こす不調

鉄が不足すると、血液の酸素運搬能力が下がるだけでなく、ミトコンドリアでのエネルギー産生がうまくいかなくなります。その結果、酸素が届いてもATP(エネルギー)が作れない「細胞レベルの疲労状態」に陥ります。

代表的な症状を見てみましょう。

  • 頭痛やめまい、立ちくらみ
  • 動悸・息切れ
  • 肩こり・倦怠感
  • 冷え性
  • 朝起きられない・常にだるい
  • アザができやすい、シミが増える
  • 抜け毛や爪の変形(スプーンネイル)
  • 口内炎・口角炎
  • 氷をガリガリ食べたくなる(異食症)
  • 集中力低下・イライラ・抑うつ感
頭皮が気になり、頭を触る女性
頭皮が気になり、頭を触る女性

これらの症状の多くは、女性が日常で「なんとなくだるい」「気分が落ち込む」「冷えが取れない」と感じる原因になっています。
特に近年では、血液検査で貧血が出ていなくても、「フェリチン(貯蔵鉄)」が低い潜在性鉄欠乏が増えています。これは、見た目には貧血でなくても体は鉄不足状態にあるというサインです。


鉄を補うための食事のコツ

鉄は吸収率が低いため、「どんな食べ方をするか」が大切です。以下のポイントを押さえておきましょう。

1. ヘム鉄を意識して摂る

赤身の肉やレバー、カツオ、イワシなど、動物性の鉄は吸収率が高くおすすめです。レバーが苦手な方は浅利の缶詰や牡蠣など貝類がお勧めです。

2. 非ヘム鉄とビタミンCを一緒に

野菜や豆に含まれる非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収が高まります。
例)納豆+ピーマンなど。

3. 鉄の吸収を妨げる食品に注意

コーヒー・紅茶・緑茶に含まれるタンニン、乳製品のカルシウム、食物繊維などは鉄の吸収を阻害します。食後すぐの摂取は避けましょう。

4. タンパク質と一緒に

鉄はたんぱく質と結合して体内で働くため、肉・魚・卵・豆類などとバランスよく摂ることが大切です。

5.鉄鍋を利用する

鉄のフライパンで調理する、または鉄玉を入れてお湯を沸かすなど、鉄入りの調理器具を使うのも効果的です。


鉄不足を放置するとどうなる?

慢性的な鉄不足は、単なる疲労感だけでなく、ホルモンバランスにも影響します。
たとえば、鉄が不足すると甲状腺ホルモンや性ホルモンの働きが低下し、月経不順やPMS(生理前症候群)、うつっぽさなどの不調が現れることもあります。

また、筋肉への酸素供給が減ることで運動パフォーマンスも下がり、「トレーニングしても成果が出ない」「すぐに疲れてしまう」という状態にもつながります。
このため、女性が健康的に痩せる・代謝を上げるためにも、「鉄」は欠かせない栄養素なのです。


現代女性に多い「隠れ鉄欠乏」

ダイエット中の女性に特に多いのが、「食事量を減らした結果、鉄やタンパク質が足りなくなる」ケースです。
サラダ中心、糖質制限、置き換えダイエットなどを続けていると、無意識のうちに鉄摂取量が減少し、知らぬ間にエネルギー不足状態に。

実際、体温が低い・手足が冷える・代謝が落ちるといった症状は、甲状腺機能低下やミトコンドリア機能低下にもつながり、ダイエットの効率も悪化します。


まとめ:鉄を味方につけて、エネルギーのある毎日を

「貧血=鉄不足」というイメージは正しいですが、それだけでは不十分です。
鉄は私たちの体を動かす酸素・エネルギー・ホルモン・心の安定にまで関与する、まさに生命の土台です。

女性は月経やダイエット、ストレスなどで鉄が失われやすいため、日々の食事でしっかりと意識することが大切です。
「なんとなくだるい」「元気が出ない」「冷える」などのサインがある方は、まずは鉄の摂取を見直してみてください。そしてカメシチで体を動かして、体力を付けませんか?興味のある方は、HPをご覧ください。
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