はじめに
東京都文京区本郷三丁目Personal training studioカメシチ、管理栄養士&ピラティストレーナーの吉田尚弘です。
鏡の前に立ったとき、
ふと、脚のラインが気になる。
- 真っすぐ立っているつもりなのに、膝が寄って見える
- 太ももばかり張って、細くならない
- 歩いていると、どこか脚が不安定な感じがする
運動もしている。
食事も気をつけている。
それなのに、脚だけが変わらない。
「年齢のせいかな」
「体質だから仕方ないのかな」
そうやって、自分を納得させようとしてきた人も多いのではないでしょうか。
でも、はっきり言います。
それは、あなたの努力不足ではありません。
膝が内に入るのは「意識の問題」ではない
歩行や立ち上がり、階段動作で
膝が内側に入る動きは、運動学では
動的膝外反(dynamic knee valgus)と呼ばれます。
重要なのは、
この現象が膝単体で起きているわけではないという点です。
運動学の標準的教科書
Neumann
『Kinesiology of the Musculoskeletal System』では、
膝のアライメント異常は、
股関節における大腿骨の内旋・内転運動の影響を強く受ける
と明記されています。
つまり、
膝は「結果」であって、原因ではないのです。
女性に多い「無意識の代償動作」
女性は構造的に、
- 骨盤幅が広い
- 大腿骨の前捻角が大きい

といった特徴を持ちます。
そのため、股関節が不安定になると、
身体は無意識にバランスを取ろうとします。
その結果として起こるのが、
膝が内側に逃げる動きです。
これはクセであって、欠陥ではありません。
あなたの身体が「今までを生き抜くために選んだ動き」なのです。
見落とされがちな「モモ裏の外側」
膝が内に入りやすい女性の身体を評価すると、
ほぼ例外なく見つかる共通点があります。
それが、
モモ裏の外側(大腿二頭筋)の過緊張です。

大腿二頭筋は、
- 股関節伸展
- 膝屈曲
- 膝関節の後方安定
に関与する二関節筋です。
Kendall らの
『Muscles: Testing and Function』では、
この筋の短縮が
- 股関節可動域の制限
- 下肢アライメントの乱れ
につながることが示されています。
つまり、
モモ裏の硬さは、膝の向きに直結するのです。
前屈ストレッチで変わらなかった理由
「モモ裏が硬いのは分かっているから、ストレッチもしている」
そう感じている人も多いでしょう。
ですが、一般的な前屈ストレッチでは、
- 腰椎の屈曲が先行
- 骨盤が後傾
- ハムストリングの伸張が逃げる
という現象が起こりやすいことが分かっています。
McGill 博士は
『Low Back Disorders』の中で、
腰椎屈曲を伴うストレッチでは
狙った筋への伸張刺激が不十分になる可能性を指摘しています。
「やっているのに変わらない」
それは、やり方が悪かったのではなく、
身体の構造上、そうなりやすかっただけなのです。
だから、このストレッチから始めてほしい
そこでおすすめしたいのが、
ハーフニーリング・ストレッチです。
片膝立ちという姿勢は、
- 腰が丸まりにくい
- 骨盤の前後傾をコントロールしやすい
- 股関節主導の動きが明確になる
という特徴があります。
NASM(全米スポーツ医学協会)の
Corrective Exercise Continuum でも、
可動域制限のある筋への抑制(ストレッチ)は
安定した姿勢で行うことが推奨されています。
ハーフニーリング・ストレッチのやり方
膝が内に入りやすい女性のための基本フォーム
① スタートポジション
- 床に片膝立ちになる
- 後ろ脚の膝は床につける
- 前脚は膝を伸ばす
- 両手を床につける
つま先、膝、股関節が一直線になるようにする。

② 姿勢を整える
- 腰を反らさず、丸めず
- 頭から骨盤までを一直線に保つ

③ 動作
- 骨盤を軽く前に倒す意識
- 股関節から前に折れる
④ 効いているサイン
- モモ裏の外側に伸び感
- 膝裏がじんわり張る
- 腰に違和感が出ない
⑤ 時間と回数
- 20〜30秒キープ
- 左右1〜2セット
- 1日1回でOK
ACSM(米国スポーツ医学会)では、
柔軟性改善には
20〜30秒の静的ストレッチを継続することが有効と示されています。
なぜこのストレッチで膝が安定するのか
外側のモモ裏が適切に伸びると、
- 股関節伸展可動域の回復
- 骨盤の安定
- 中殿筋など安定筋群が働きやすくなる
という変化が連鎖的に起こります。
Sahrmann
『Movement Impairment Syndromes』では、
近位関節の機能改善が遠位関節を安定させる
という考え方が示されています。
結果として、
膝は「無理に意識しなくても」
自然と正面を向きやすくなります。
変化は、静かにやってくる
このアプローチは、
一瞬で脚を細く見せるものではありません。
けれど、
- 立ったときの安定感
- 歩行時の脚の運び
- 前モモの張りの減少
こうした変化を、
多くの女性が数週間で感じ始めます。
まとめ|あなたの脚は、まだ変われる
膝が内に入るのは、
あなたの身体が悪いからではありません。
これまでの生活と動きの積み重ねが、
今の状態を作ってきただけです。
正しい場所に、
正しい順番でアプローチすれば、
身体は必ず応えてくれます。
まずは、
モモ裏の外側から。
そこが緩むと、
脚は思っている以上に素直になります。
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参考文献(エビデンス)
- Neumann DA. Kinesiology of the Musculoskeletal System
- Kendall FP et al. Muscles: Testing and Function
- Sahrmann SA. Diagnosis and Treatment of Movement Impairment Syndromes
- McGill SM. Low Back Disorders
- NASM. Corrective Exercise Specialization
- ACSM. Guidelines for Exercise Testing and Prescription

