文京区本郷三丁目Personal training studioカメシチ、管理栄養士&ピラティストレーナーの吉田尚弘です。今回は、多くの女性が悩む「ウエストのくびれ問題」について、体の仕組みからひも解いていきたいと思います。結論からお伝えすると、くびれができない原因は「腹筋が足りないから」ではないケースがとても多いのです。
頑張って腹筋しているのに、なぜクビレができないのか
ウエストを引き締めようとするとき、多くの方がまず取り組むのが「腹筋運動(シットアップやクランチ)」だと思います。もちろん、お腹周りを鍛えること自体は間違いではありません。
ただ、一般的な腹筋運動で主に鍛えられるのは「腹直筋(ふくちょくきん)」と呼ばれる、お腹の中央を縦に走る筋肉です。腹直筋は体を前に丸める働きを持つ筋肉で、いわゆる「シックスパック」を作る筋肉として知られていますが、実はこの筋肉、ウエストの「横のライン」にはあまり関与しないと考えられています。

つまり、腹直筋をどれだけ鍛えても、お腹の縦のラインは変化しても、横方向の「くびれ」にはつながりにくいのです。むしろ、腹直筋ばかりを過剰に鍛えてしまうと、お腹全体が厚みを増して、かえって寸胴に見えてしまうケースもあると言われています。
実は「骨格」と「姿勢」も影響している
くびれのでき方には、生まれ持った骨格の特徴も関係していると考えられます。もともと骨盤の横幅が狭く、肋骨(ろっこつ)の下部が横に広がっているような骨格の方は、上半身と下半身の差が出にくく、寸胴体型に見えやすい傾向があります。

さらに、そこに「反り腰(そりごし)」が加わるとややこしくなります。反り腰になると、お腹の力が抜けやすくなり、下腹がぽっこりと前に出やすくなるだけでなく、肋骨が開いた状態で固定されやすくなります。
肋骨が開いたまま姿勢が固定されてしまうと、アンダーバスト(胸の下)からウエストにかけてのラインがまっすぐに近くなり、くびれが生まれにくくなってしまうのです。骨格そのものは変えられませんが、「肋骨の開き」や「反り腰」といった姿勢のクセは、日々のアプローチで変化させられる部分でもあります。
クビレ作りの鍵を握るのは「腹斜筋」
では、開いてしまった肋骨を締め、ウエストにラインを生み出すために重要な筋肉は何なのでしょうか。それが「腹斜筋(ふくしゃきん)」です。

腹斜筋には、体の外側にある「外腹斜筋」と、その内側にある「内腹斜筋」があります。この二つの筋肉は、体を横に倒したり、ひねったりする動作に関わるだけでなく、肋骨を下方向・内側方向に引き寄せて締める役割も担っていると考えられています。いわば、開いた肋骨をコルセットのように内側から引き締める筋肉です。
腹直筋が「縦のライン」を作る筋肉だとすれば、腹斜筋は「横のライン」、つまりくびれそのものを作り出す筋肉と言えます。腹筋運動をどれだけ頑張っても結果が出なかった方の多くは、実はこの腹斜筋への刺激が不足していた可能性があるのです。
なぜ腹斜筋は弱くなってしまうのか
ここで疑問に思う方もいるかもしれません。「では、なぜ自分の腹斜筋は弱くなってしまったのか」と。
考えられる要因の一つが、日常生活での「呼吸の浅さ」です。本来、しっかりと息を吐き切る動作には腹斜筋や腹横筋(ふくおうきん)といったお腹まわりのインナーマッスルが関わっていますが、デスクワークなどで長時間座った姿勢が続くと呼吸が浅くなり、これらの筋肉を使う機会そのものが減ってしまうと言われています。

さらに、先ほどお伝えした「反り腰」や「肋骨の開き」がある状態では、腹斜筋が引き伸ばされたまま力が入りにくいポジションで固定されてしまいます。筋肉は、伸びきった状態や縮みきった状態が続くと、うまく力を発揮できなくなる性質があります。つまり、悪い姿勢そのものが、腹斜筋を「使われにくい筋肉」にしてしまっている可能性があるのです。
デスクワーク中心の生活、運動不足、姿勢のクセ——これらが積み重なることで、多くの方の腹斜筋は、知らず知らずのうちに機能低下を起こしていると考えられます。
腹斜筋を目覚めさせるトレーニングとは
腹斜筋を効果的に働かせるためには、体を「ひねる」「横に倒す」といった動作を取り入れることが基本になります。今回、ご紹介するエクササイズ「ひねる」動作を行い腹斜筋をしっかり鍛えていきます。
①マットとピラティスボールを用意して、座ります。
②ピラティスボールを鳩尾の後ろに置き、膝を曲げて、両手を頭の後ろで組む。足は腰幅に開く。
③息を吐きながら、右の肋骨を締めるように左に体を捻る。
④この動作を10回×3セット行います。
ポイントは捻る時にしっかりと息を吐き切って、肋骨を締めている感覚を得るようにします。
効果を引き出す最大のポイントは「しっかり吐き切ること」
そして、腹斜筋トレーニングにおいて、実はテクニック以上に大切だと考えられているポイントがあります。それが「呼吸」、特に「しっかりと息を吐き切ること」です。
体をひねる回旋動作に合わせて、肺の中の空気をできる限り吐き切るように意識してみてください。息を吐き切る過程では、横隔膜が上がるとともに、腹斜筋を含むお腹まわりの筋肉が収縮し、肋骨を内側に引き寄せる働きをすると考えられています。この「肋骨がキュッと締まる感覚」こそが、腹斜筋がしっかり働いているサインです。
逆に言うと、どれだけ回数をこなしても、呼吸が浅いまま、あるいは息を止めたまま動作を行っていると、腹斜筋への刺激は十分に得られにくいと言えます。「回数」よりも「呼吸の質」——これが、くびれ作りの遠回りに見えて、実は一番の近道なのです。
まとめ|クビレは一日にしてならず
ウエストのくびれができない原因は、単純な「運動不足」だけではなく、骨格の特徴、反り腰や肋骨の開きといった姿勢のクセ、そしてその結果として起こる腹斜筋の機能低下が複雑に絡み合っていると考えられます。だからこそ、闇雲に腹筋運動の回数を増やすだけでは、なかなか結果につながりにくいのです。
大切なのは、ご自身の姿勢のクセを知り、腹斜筋がきちんと働けるコンディションを整えたうえで、正しい呼吸とともにトレーニングを行うこと。焦らず、体の仕組みに沿ったアプローチを続けていくことが、遠回りのようで実は一番の近道になります。
カメシチでは、管理栄養士とピラティストレーナーの視点から、お一人おひとりの骨格や姿勢のクセに合わせたパーソナルトレーニングをご提案しています。「頑張っているのに変わらない」と感じている方は、ぜひ一度、体験セッションでご自身の姿勢や体の使い方をチェックしにいらしてください。

