東京都文京区本郷三丁目Personal training studioカメシチ、ピラティストレーナーの吉田尚弘です。
普段「なんとなく歩きにくい」「立ってるだけで腰がつらい」…そんな不調ありませんか?もしかしたら“腰のカーブ”が関係しているかもしれません。
私たちの腰の骨(腰椎)は、もともと前にカーブしているのが自然な姿。この「前弯(ぜんわん)」というカーブがあることで、体はバランスよく動けるようになっています。
今回のブログでは
- なぜ腰にカーブが必要なのか
- 歩くときにどんな働きをしているのか
- ピラティスでどう整えられるのか
について、わかりやすくご紹介していきます。
腰のカーブ「腰椎前弯(ようついぜんわん)」ってなに?
背骨はまっすぐではなく、横から見るとゆるやかなS字カーブを描いています。その中で、腰の骨(腰椎)は前に少しカーブしていて、これを「腰椎前弯」といいます。

このカーブがあることで、
- 重たい上半身をうまく支えられる
- 歩いたときの衝撃をやわらげられる
- 姿勢が安定する
といった、日常生活に欠かせない働きをしてくれています。
でも、長時間のデスクワークや運動不足が続くと、このカーブが弱くなったり、逆に反りすぎたりして、腰に負担がかかってしまうんです。
歩くとき、腰のカーブはどう働いているの?
歩いているとき、実は体はすごくたくさんの連動をしています。足を出すときに、骨盤(こつばん)は少し前に傾き、それに合わせて腰の骨も少し前にしなります。
このしなやかな動きができるのは、腰の前弯カーブがあるから。
このカーブがうまく機能していれば、
- 脚を後ろに出すときにスムーズになる
- 腰が硬くならず、歩くのがラクになる
- 上半身と下半身のバランスがとれる
というメリットがあるんです。
腰がまっすぐすぎるとどうなるの?
最近増えているのが「腰がまっすぐ」な人。フラットバックともいわれ、カーブがなくなって腰が硬くなってしまう状態です。
こうなると、
- 歩くときの衝撃が腰にダイレクトに伝わる
- 股関節がうまく動かない
- 首や肩までこるようになる
といった不調が出やすくなります。
「歩くとすぐ疲れる」「腰よりも太ももが張りやすい」と感じている方は、この腰のカーブが関係しているかもしれません。
「腸腰筋(ちょうようきん)」がカーブをつくるカギ
実は、腰のカーブに大きく関係している筋肉があります。それが「腸腰筋(ちょうようきん)」です。

腸腰筋は、おなかの奥の方にある筋肉で、
- 腰の骨から太ももの骨までつながっている
- 足を前に出すときに使われる
- 腰を自然に前にカーブさせる役割がある
といった特徴を持っています。
この筋肉が硬すぎると腰が反りすぎたり、逆に弱くなると腰が丸くなったりします。ちょうどよく働いてくれてこそ、腰の自然なカーブが保たれるんですね。
ピラティスってなに?腰にいいの?
ピラティスは、リハビリから生まれたエクササイズで、「姿勢を整える」「体をバランスよく動かす」ことを大切にしています。
特に腰のカーブに対しては、
- 骨盤の位置を感じ取る力(感覚)を育てる
- インナーマッスルをじわっと強くしてくれる
- 呼吸を使っておなかの奥を安定させる
という効果があり、腰の前弯を“自然に”取り戻していくサポートをしてくれるんです。
ピラティスで行う、腰にやさしい動き
ピラティスでは、いきなりハードな運動をするのではなく、「ゆっくり」「正確に」体を動かすのが特徴です。
たとえばこんな動きがあります:
- デッドバグス
①仰向けの状態で寝て、テーブルトップの姿勢になる。この時に腹圧をかけて自然な腰椎のカーブを意識する。(腰とマットの間に少し隙間を作る)

②息を吐きながら、つま先がマットに触れるまで下す。
腰椎が過伸展、または腰をマットに押し付けないように自然な腰椎のカーブを維持する。

③息を吸って①のポジションに戻り、履きながら逆の足先をマットに触れる。常に腹圧が抜けないように意識して両足を動かす。

これらの運動は、「どこが動いているか」を意識しながら行うことで、腰のカーブを自然に整えていくことができます。
呼吸もカギ!腰を守る“おなかのコルセット”
ピラティスでは「胸式呼吸」といって、胸の横に空気を入れるような呼吸法を使います。この呼吸をしながらおなかの深部を安定させることで、腰の骨をしっかり守ってくれるのです。
これは、イメージでいうと“おなかにやさしいコルセット”のような感じ。
呼吸と一緒にインナーマッスルを働かせることで、
- 腰が反りすぎない
- 腰が丸くなりすぎない
- 歩くときに腰が安定する
という、うれしい効果が期待できます。
歩きやすさと姿勢の安定は「自然なカーブ」がつくる
腰椎の前弯(カーブ)が整ってくると、体にこんな変化が出てきます:
- 歩いたときの体のブレが減る
- 腰にかかる力がやわらぐ
- 太ももが張りにくくなる
- 呼吸がしやすくなる
これらはすべて、「体が自然に動けているサイン」です。
「姿勢を良くしよう」と思って無理に胸を張ったり、おなかを引っ込めたりするのではなく、ピラティスを通して、体の内側から姿勢を整えていくことが大切なんですね。
まとめ|腰のカーブを整えて、軽やかに歩こう
腰の骨の前のカーブは、見た目の問題だけでなく、体の機能にとってとても大切です。
- 歩くときの衝撃をやわらげる
- 腰や脚、肩の不調を防ぐ
- 呼吸も深くなる
- 姿勢がスッと整う
そんな“元気な体”を支えるのが、腰椎前弯という自然なカーブです。
ピラティスは、無理なくこのカーブを取り戻すための理想的な方法です。動きながら整えられるから、体への負担も少なく、年齢を問わず取り組めます。