頑張るほど痩せないダイエットの落とし穴

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精米したコメ

ご飯を抜いたのに太った——糖質制限で起きやすい“逆転現象”の正体

東京都文京区本郷三丁目Personal training studio カメシチ
管理栄養士/ピラティストレーナー 吉田尚弘

糖質制限ダイエットは、今や珍しい方法ではありません。
「ご飯を抜けば痩せる」「糖質を減らせば脂肪が落ちる」
そうした情報は、SNSやメディアでも繰り返し目にします。

しかし現場では、次のような声を耳にすることが少なくありません。

  • 糖質を控えているのに体重が増えた
  • 朝は食欲がなく、ほとんど食べられない
  • 午後になると甘い物が止まらない
  • 体力が落ちて、運動する気力が湧かない

努力しているはずなのに、結果が逆に出てしまう。
この状態は、ダイエットの失敗なのでしょうか。

結論から言えば、それは失敗ではなく、体が必死にバランスを保とうとした結果です。


「糖質を抜けば痩せる」は、体が元気な人の条件付きの話

糖質制限によって体重が落ちる人がいるのは事実です。
ただし、それが成立するのは次の条件が揃っている場合です。

  • 胃腸の消化機能が十分に働いている
  • たんぱく質を問題なく消化・吸収できる
  • 甲状腺や副腎などのホルモン機能が安定している

一方で、次のような状態が見られる人にとって、糖質を抜く食事は体を痩せさせるどころか、防御モードに切り替えさせる要因になります。

  • 朝、空腹感がほとんどない
  • 肉や卵を重たく感じる
  • 食後に強い疲労感が出る
  • 甘い物がないと頭が働かない

この段階で糖質を抜き続けると、体は「これ以上エネルギーを減らすと危険だ」と判断し、脂肪を溜め込む方向へ舵を切ります。


朝食が入らないのは、意志の問題ではない

朝食が食べられないことに対し、「自分の意志が弱い」と感じてしまう人は少なくありません。
その結果、

  • ヨーグルト
  • フルーツ入りスムージー
  • 甘めのプロテインドリンク

といった、比較的口にしやすいものを選びがちになります。

一見、健康的に見えるこれらの選択にも、実は落とし穴があります。


胃が動いていない状態で、甘いものだけを入れるとどうなるか

胃は、本来「酸」で働く臓器です。
胃酸が十分に分泌されることで、

  • たんぱく質が分解され
  • 鉄や亜鉛などのミネラルが吸収され
  • 次の腸の消化がスムーズに進みます

しかし、慢性的なストレスや過度な食事制限が続くと、
自律神経のバランスが崩れ、胃酸分泌は低下します。

この状態では、

  • 朝、空腹を感じにくい
  • たんぱく質を見ると気持ち悪くなる
  • 冷たいものや甘いものなら入る

といった反応が起こります。
これは胃の怠慢ではなく、消化できないものを避けようとする防御反応です。


ヨーグルト・スムージーが「太りやすさ」を作る理由

分離栄養学の視点で見ると、
空腹状態で糖質中心の食事を入れることは、血糖を最も乱しやすい行為です。

血糖値は次のように変動します。

  1. 空腹状態で糖質を摂取
  2. 血糖値が急上昇
  3. インスリンが大量分泌
  4. 血糖値が急降下
  5. 強い眠気・だるさが出る

そして午後になると、

  • 甘い物が欲しくなる
  • 加工食品が楽に感じる
  • たんぱく質を避けたくなる

という流れが生じます。
これは性格や意志の問題ではなく、生理学的に極めて自然な反応です。


たんぱく質が苦手になると、痩せない体が完成する

たんぱく質の摂取が重要だと分かっていても、
胃酸が少ない状態では、たんぱく質はエネルギー源ではなく「ストレス」になります。

結果として起こるのが、

  • 筋肉量の低下
  • 基礎代謝の低下
  • 体温低下
  • 慢性的な疲労感

これにより、

運動できない → 代謝が下がる → さらに痩せにくくなる

というループに入ってしまいます。


分離栄養学的に見る、体の現在地

分離栄養学では、
「消化できないものは、栄養ではない」と考えます。

このタイプの体の状態は、

  • 胃酸不足
  • たんぱく質消化不全
  • 血糖不安定
  • ストレスホルモン優位
  • 脂肪を溜め込むモード

という段階にあります。

必要なのは、食事を削ることではなく、段階的な回復です。


最初に取り組むべきことは「痩せる」ことではない

この段階で最優先すべき指標は体重ではありません。

  • 朝、温かいものが自然に入る
  • 食後に強い疲労感が出ない
  • 午後の甘い物欲求が落ち着く

ここがスタート地点です。


胃を起こす食事へ切り替える

いきなり理想的な食事を目指す必要はありません。

まずは、

  • 温かい味噌汁
  • 出汁スープ
  • 少量の白身魚や豆腐

甘さよりも「温かさ」を優先します。
胃酸分泌は、副交感神経が優位になることで回復しやすくなることが知られています。


たんぱく質は「消化できる形」から段階的に

分離栄養学では、たんぱく質にも順番があります。

  1. 発酵食品
  2. 柔らかい大豆製品
  3. 慣れてきたら肉・卵

消化力が回復していない段階で無理に肉を増やす必要はありません。


体重が増えたのは、体が壊れたからではない

糖質を抜き、甘い物に頼り、動けなくなった背景には、
体が「これ以上無理をさせないため」に出したサインがあります。

正しい順番で体を立て直せば、

  • 朝食が自然に入る
  • 甘い物への依存が減る
  • 体力が戻る
  • 体脂肪が落ち始める

こうした変化は、珍しいことではありません。


ダイエットは、削ることではない

ダイエットとは、
何かを減らす競争ではなく、体が処理できる順番を整える作業です。

体は、正しく扱えば必ず応えてくれます。

Personal training studio カメシチでは、
消化・栄養・運動を一体で考えたトータルダイエットコースがございます。
体重だけでなく、体の状態から整えたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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