東京都文京区本郷三丁目Personal training studioカメシチ、管理栄養士&ピラティストレーナーの吉田尚弘です。
当スタジオではトータルダイエットコースという食事とピラティスを組み合わせたダイエット指導をしておりますが、ダイエットを希望されてご来店される方に、カウンセリングで食事内容をお聞きすると、殆どの方が朝食を摂っていません。
なんとなく「ダイエット中は朝ごはんを抜いた方がカロリーを減らせるのでは?」と考えてしまうからかもしれません。しかしならが、朝食を正しく摂ることがダイエット成功の近道だということは、近年の栄養学・生理学の研究で明らかになっています。
それくらいダイエットには朝食が重要なんです。今回は、朝食について考えてみましょう。
朝食を抜くと体は「ため込みモード」に切り替わる
朝食を抜くと、夕食からかなり時間が空くので体は「飢餓状態」に近づきます。体がエネルギー不足を察知すると、次に食べたものをなるべく脂肪として蓄えようとする代謝の節約モードに入ります。
この「代謝の低下」が起こると、同じ量を食べても太りやすく痩せにくい体質になってしまいます。また、血糖値の変動が大きくなり、昼や夜にドカ食いをしてしまう原因にもなります。
朝食が体内時計をリセットし、脂肪燃焼スイッチをONにする
人間の体には「体内時計(概日リズム)」があり、これがホルモン分泌や代謝に深く関わっています。
朝食を摂ることでこの体内時計がリセットされ、コルチゾールやインスリンの分泌が整い、脂肪を燃やしやすい時間帯に代謝が活性化します。逆に朝食を抜くとこのスイッチが入らず、1日の代謝が低く推移しがちです。
ダイエット中のホルモンバランスは朝食で決まる
朝食を摂ることによって、以下のようなホルモンが適切に分泌されます。
- インスリン:血糖値をコントロールし、脂肪の過剰蓄積を防ぐ
- レプチン:満腹感を与え、食欲を抑える
- グレリン:空腹ホルモン。朝食を摂ることで過剰分泌を防げる
これらのホルモンバランスが整えば、間食や過食を自然に抑えられる体のリズムが生まれます。朝食は単なるエネルギー補給ではなく、「食欲コントロール機能」を担っているのです。
筋肉を守り、基礎代謝を維持するために朝食が必要
ダイエットにおいて重要なのは、脂肪を落としつつ筋肉を維持することです。ところが朝食を抜くと、筋肉を構成するアミノ酸がエネルギー源として使われてしまい、筋肉量の低下を招きます。
筋肉が減ると基礎代謝が下がり、一層痩せにくく太りやすい体質に。朝にしっかりタンパク質や炭水化物を摂ることで、筋分解を防ぎ、脂肪燃焼に必要なエネルギーが安定して供給されるのです。
朝の空腹が長すぎると血糖値スパイクを引き起こす
睡眠中は絶食状態なので、朝起きた時点で体内のブドウ糖はほとんど枯渇しています。この状態で昼食まで何も食べないと、空腹時間が10〜15時間にも及ぶことに。
その後に糖質を含む食事をとると、血糖値が急上昇(血糖値スパイク)し、インスリンが大量に分泌されます。これにより脂肪が合成されやすくなり、糖質依存の悪循環が始まります。
血糖値の安定は脂肪燃焼のカギ。朝食はそのスタート地点です。
朝食習慣のある人の方が体重管理に成功している
実際に、多くの研究で「朝食を習慣化している人ほど、BMIや体脂肪率が低い」というデータが出ています。
アメリカの大規模調査では、長期的に減量に成功した人の80%以上が毎朝朝食を摂っていたという報告があります。朝食は単なる習慣ではなく、体重を安定させる重要な戦略のひとつと考えられています。
ダイエット中におすすめの和朝食とは?
では朝は何を食べてもよいのか?というわけではありません。甘いパンや甘味の強い果物、精製されたパンなどは血糖値を急上昇させるため、あまりお勧めできません。
ダイエット中に朝食を摂る際のポイントは、「血糖値を急上昇させず、代謝を高める食材を選ぶこと」です。特に日本の伝統的な和食は、この点で非常に優れています。
● 主食:白米よりも玄米や雑穀米を選ぶ
→ 食物繊維が豊富で血糖値の上昇が緩やか。腹持ちも良く、便通改善にも効果的。
● 主菜:焼き魚(鮭・鯖・アジなど)
→ 良質なタンパク質とオメガ3脂肪酸が含まれ、脂肪燃焼と脳機能サポートにも効果。
● 副菜:納豆、豆腐、卵焼き
→ 植物性・動物性のタンパク質をバランスよく摂取。納豆のナットウキナーゼは血流改善にも。
● 汁物:味噌汁(わかめ、豆腐、ネギなど)
→ 発酵食品とミネラルを同時に補給できる。体を温め、内臓の活性化をサポート。
● 野菜類:ほうれん草のおひたし、切り干し大根、ひじき煮
→ ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富で、腸内環境を整える。
● その他:海苔、梅干し、漬物(控えめに)
→ ミネラルや酵素を補えるが、塩分量には注意。
このような和食の構成は、低GIで脂肪蓄積を抑えつつ、代謝を高めてくれる理想的な朝食といえるでしょう。
和食の朝食は「腸活」にも効果的
ダイエット成功には腸内環境の改善(腸活)も欠かせません。腸内細菌のバランスが整うと、脂肪の分解や吸収に関わる代謝がスムーズに行われ、栄養吸収効率も上がります。
納豆・味噌・漬物などの発酵食品を含む和食は、腸内の善玉菌を増やし、便通改善・免疫力向上・精神安定などの効果をもたらします。
また、水溶性食物繊維を多く含む海藻やきのこ類も和食の特徴。これらは腸内の不要物の排出を助け、ぽっこりお腹の解消にも役立ちます。
朝食習慣をつけるための工夫
忙しい朝に毎日しっかり朝食を摂るのは難しいという方も多いかもしれません。そんなときは、以下のような工夫をしてみましょう:
- 前日のうちにおにぎりや味噌汁の具材を準備しておく
- 朝は軽めでもいいので、白湯→納豆ごはん+味噌汁のようなシンプル構成に
- 食べられない日はバナナと味噌汁だけでもOK。徐々に慣らしていく
朝食の習慣化には「完璧を求めず、継続すること」が大切です。まずは週に3回からでも始めてみましょう。
参考サイト 時間栄養学で体内時計を整える