はじめに|食べてないのに痩せない…その理由は“体の中のエネルギー工場”
東京都文京区本郷三丁目、春日Personal training studioカメシチ、管理栄養士&ピラティストレーナーの吉田尚弘です。
「若い頃と同じくらい食事に気をつけているのに、体重が落ちない」
「むしろ、何をしても太りやすくなった気がする」
そんなお悩み、40〜50代の女性にとても多いです。
この“痩せにくさ”の裏には、「体の中のエネルギー生産システムの変化」が関わっている場合があります。そのカギを握っているのが、「ミトコンドリア」という細胞の中の小さな器官です。
1. ミトコンドリアとは?|脂肪を燃やす「発電所」
ミトコンドリアは、私たちの細胞の中に存在する「エネルギー工場」。
ここでは、食べ物から取り入れた糖や脂肪を使って、**ATP(エネルギー分子)**が作られています。
ATPは、呼吸や心拍、体温維持はもちろん、筋肉の動き、思考、ホルモン分泌など、あらゆる活動に必要です。
つまり、ミトコンドリアが元気で働いている=代謝が高く、痩せやすい体になるということ。
2. なぜ40代以降は代謝が落ちるの?
ミトコンドリアの数や働きは、年齢とともに自然と低下します。
加えて、以下のような要因も影響します:
- 筋肉量の低下(特に下半身)
- 女性ホルモン(エストロゲン)の減少
- 睡眠の質の低下やストレスの蓄積
- 食生活の乱れ(栄養の偏り)
これらが重なることで、「エネルギーがうまく作れない体」になってしまいます。
その結果、食べても燃えない、動いても疲れる、痩せづらいといった悩みが現れます。
3. 食べ物はどうやってエネルギーになるの?
食べたものは胃腸で消化され、糖や脂肪として血液を通じて細胞に届きます。
その後、細胞内で以下のような流れでエネルギーに変わっていきます:
- 解糖系(細胞質)で糖が分解される
- クエン酸回路(ミトコンドリア内)でさらに分解される
- その過程で生まれた電子(エネルギーのもと)が、
- 電子伝達系というラインに乗ってATP(エネルギー)が作られる
この「電子伝達系」が正常に動いていないと、どんなに栄養をとってもエネルギーになりません。

4. 電子伝達系とは?|エネルギーを生み出す“最後の一押し”
電子伝達系は、ミトコンドリアの中で行われている一連の酵素の働き。
そこに電子(エネルギーのもと)を送り込むことで、水素イオンの勾配が作られ、ATPが生成されます。
この過程で必要なのが、酸素です。だから呼吸が深いこと、血流が良いことも大切。
呼吸が浅くて酸素が足りないと、エネルギーも作られづらく、疲れやすくなります。
5. NADHとFADH₂は“脇役”だけど重要な存在
食べ物からエネルギーを作る過程で生まれるのが、NADHとFADH₂という分子です。
彼らは、電子伝達系に電子を渡すための“電子の運び屋”のような役割。
- NADH → 少し多めに電子を運べる
- FADH₂ → 少し少なめに電子を運ぶ
それぞれ、糖や脂肪の代謝の途中で自然と作られます。
名前は難しく聞こえますが、体内で当たり前に働いている「運び役」なのです。
6. 「燃やせる体」になるために必要な栄養素とは?
ミトコンドリアや電子伝達系を正常に働かせるには、特定の栄養素が欠かせません。
栄養素 | 役割 | 含まれる食材 |
---|---|---|
ビタミンB群 | 糖や脂肪を代謝する | 豚肉、納豆、卵、玄米 |
鉄 | 酸素を運ぶ、ミトコンドリア活性化 | レバー、赤身肉、あさり |
マグネシウム | ATPの合成に必要 | 海藻、ナッツ、豆類 |
コエンザイムQ10 | 電子伝達系のサポート | 青魚、アボカド、肉類 |
L-カルニチン | 脂肪をミトコンドリアへ運ぶ | 羊肉、チーズ |
「食べても太る」ではなく、「食べたものがエネルギーに変わらない」状態が多くの不調の根本です。
7. 忙しい女性でもできる!ミトコンドリアを増やす生活習慣
ミトコンドリアは、使えば使うほど増えます。
つまり、「体をよく動かしている人は、代謝力が高い」ということ。
40〜50代でもできる、簡単な工夫をご紹介:
- 朝5分のストレッチ+深呼吸(酸素を取り込む)
- なるべく階段を使う(脚の筋肉=代謝の要)
- 1日1回、太もも・お尻を使う運動を意識(スクワット、ピラティス)
- 湯船につかる(血流UP→酸素供給&ミトコンドリア活性)
8. 抗酸化ケアでミトコンドリアを守る
ミトコンドリアは働けば働くほど、「活性酸素」という“サビ”を出します。
これがたまると、細胞の老化や不調の原因に。
そんなときに必要なのが、抗酸化栄養素です。
- ビタミンC(フルーツ、野菜)
- ビタミンE(ナッツ、植物油)
- ポリフェノール(ベリー、カカオ、紅茶)
- アスタキサンチン(鮭、イクラ、エビ)
毎日の食事でこれらを意識することで、エネルギーを効率よく生み出す環境が整います。
まとめ|「痩せる体」は“外側”より“内側”の整え方で決まる
痩せない・疲れが取れない・不調が続く…。
それは、体の内側のエネルギー生産工場が働いていないからかもしれません。
・ミトコンドリアが元気に働く環境を整える
・食べたものがちゃんとエネルギーになる栄養素をとる
・毎日のちょっとした習慣で「燃やせる体」に近づける
40代からは「ただ痩せる」よりも、「疲れにくく、燃えやすい体」を育てることが大切です。