東京都文京区千石パーソナルトレーニングスタジオKame7、管理栄養士&トレーナーの吉田尚弘です。
皆さん、卵は好きですか。卵って、この地球上に住む人間誰でもが口にするのではないか?と思うほと普及している食材ですよね。そして、嫌いな人はほとんどいない。中には調理の仕方で好きではないという人もいますが、卵自体はアレルギーがない限り好きな方多いと思います。そんなみんなに愛されている卵ちゃん、栄養的にも優れた食材でもあるわけです。今回は、そんな卵についてお伝えしたいと思います。
▼ 目 次
卵の栄養価
卵はサプリメントと書きましたが、これは大げさではなく、完全食品と呼ばれるくらい栄養のバランスがよい食材で不足しているのは「ビタミンC」と「食物繊維」だけ。それ以外のビタミンやミネラルは含まれています。その中でも特に注目すべき栄養を見てみましょう。
・たんぱく質
卵はたんぱく質の供給源として、非常に優れています。なにせ卵100g中(約卵2個分)で含まれるたんぱく質量は12.3g!しかもアミノ酸スコア100!アミノ酸スコアとは以前のブログでもご紹介しましたが、私達の体に必要なたんぱく質(アミノ酸)のバランスがとても優れているという事。
参考記事 本当に必要なたんぱく質とは?
卵2個に含まれるたんぱく質量は12.3gですから、これで私達が一日に必要なたんぱく質の 1/4程度は摂れてしまうのです。肉で同じたんぱく質量を摂ろうと思ったら意外と動物性脂質も一緒の可能性もあるので、効率のよいたんぱく源であることは間違いありません。しかも卵は安い!
・セレン
たんぱく質に次ぎ、多く含まれるミネラルです。セレンは抗酸化作用があり、ビタミンEと共に細胞の酸化を予防し免疫機能を高める働きがあります。卵1個で一日の充足量の50%程度補えます。
・ビオチン
ビタミンB群の仲間で、他のB群と同じように栄養素の代謝を助ける働いがあります。その他にも白髪やハゲるのを予防してくれたり、皮膚炎予防にもなります。ただ、生卵では体内で吸収されないので、必ず加熱してから摂るようにしましょう。
・卵黄レシチン
卵黄には脂質と水分、たんぱく質等が含まれますが、まったく分離していません。これは卵黄の中に卵黄レシチンが含まれており、これが乳化する力があるからです。これを利用したのが私達が日ごろから口にするマヨネーズですね。通常であれば、絶対に分離する油と酢を乳化させているのは卵黄レシチンのおかげなのです。
そして、この卵黄レシチンは細胞膜を作る主成分で、脳神経の働きを活発化させる働きもあります。
参考サイト リン脂質
参考サイト 卵の栄養
代表的な栄養素をピックアップしましたが、他にも私達の体に必要な栄養素が含まれています。
卵とコレステロール
「確かに卵は栄養価が高い食材で、食べたほうが良いのは理解できたけどコレステロールが沢山含まれるでしょ?」確かに仰る通りです。よく卵は一日に1個にしておきましょう、と言われます。ここで、簡単にコレステロールについて学びたいとおもいます。
コレステロールとは
コレストロールは肝臓で作られ私達の体内でとても重要な働きをしていて細胞膜、ホルモン、脂質の吸収を助ける胆汁酸の材料になっています。肝臓由来が8割、食べ物由来が2割になり意外と食べ物から作られるコレステロールは少ないのです。なんとなくコレステロールは良くないものと思われがちですが、コレステロールが少ないと逆に病気になるリスクが高まったり、動脈硬化のリスクも高まるのです。
よく悪玉、善玉と呼ばれますが、悪玉は悪者ではなくて体の材料としてコレストロールを体の隅々まで運ぶ役割と担っているとってもいいヤツなんです。そして善玉は血管内に余ったコレステロールを回収して肝臓に戻す働きをしています。
卵コレステロールは悪か
ここで卵とコレステロールの問題です。なぜ、卵にはコレステロールが含まれいているから一日に1個までと言われるようになったのでしょうか?これはその昔、アメリカで心臓病患者が増加した際、原因はコレステロール値の上昇による動脈硬化が関係すると判断され、コレストロールを含む卵は多く食べないように勧告がなされました。これが発端のようです。
しかし、その後の調査により、食事性のコレストロールと心臓病の関連性はなく飽和脂肪酸が心臓病のリスクの上昇に関係があったと発表されています。(参考資料)2002年、ついにアメリカは「個人が卵を何個食べてよいかという、特定の食品に関する勧告を行わない」と発表しました。さらにアメリカの食事ガイドラインでは2015年「食事によるコレストロール摂取と血清コレステロールとの間に明らかな関連性はない」と発表され、ガイドラインから食事由来のコレステロールの摂取基準値が撤廃されました。
さて、日本ではどうでしょうか。実は厚生労働省が2015年版の「日本人の食事摂取基準」からはアメリカ同様にコレステロールの目標量が撤廃されました。「策定検討会の報告書、脂質の部」でこう記されています。「コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいものと考えられるものの、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた。ただし、コレステロールは動物性たんぱく質が多く含まれる食品に含まれるため、コレステロール摂取量を制限するとたんぱく質不足を生じ、特に高齢者において低栄養を生じる可能性があるので注意が必要である」 1これで卵は一日に1個という説は消えたわけですね。
参考資料 日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会 報告書 脂質の部
卵は一日に何個がよい?
これで、卵は限りなく無限に食べられる!と、言いたいところですがそうでもなさそうです。卵食べ過ぎの問題のひとつは栄養素の過剰摂取が挙げられます。特に卵黄に含まれるセレンやレチノールなどの脂溶性の栄養素は過剰摂取による問題が発生します。そして、卵に含まれるコリンを大量に摂取した場合、腸内でTMAOという物質に変化して、かなり個人差はありますが、動脈硬化を引き起こすリスクがあることが解りました。やはり、なんでも摂りすぎは良くないわけで一日に2~3個が適量なのではないでしょうか。
参考資料 腸内細菌と動脈硬化性疾患
参考サイト 卵の栄養機能とアンチエイジング効果
まとめ
栄養価が高く、安価で調理もしやすい卵。コレステロールは大きな問題ないと分かりますが、やはり摂りすぎは色々な問題を引き起こすようなので、かなり個人差はあるでしょうが、一日に2~3個が適量です。コレストロールについては機会があれば書きたいと思います。