東京都文京区本郷三丁目Personal training studioカメシチ、管理栄養士&ピラティストレーナーの吉田尚弘です。
「なんだか最近、気分が落ち込みやすい」「ちょっとしたことでイライラしてしまう」「急に汗が出てくるようになった」
――そんな自分に、ふと不安を覚えたことはありませんか?
40代後半から50代にかけて、女性の体と心は大きな変化を迎えます。
それが“更年期”です。
閉経前後の10年間ほどを指すこの時期、体の中ではホルモンバランスが急激に変わっていきます。
そしてこの「女性ホルモンの変化」こそが、更年期特有の心身の不調の根本原因。
でも安心してください。
更年期は“終わり”ではなく、“始まり”です。
少しずつ自分の体に優しくなり、運動や栄養を見直していくことで、確実に心も体もラクになっていきます。
今回は、プロゲステロンとエストロゲンという2つのホルモンの関係、
そしてそれを整えるためにできる運動と栄養のポイントをわかりやすくお伝えしていきます。
ホルモンの波に揺れる時期。それが更年期
更年期とは、閉経をはさんだ約10年間を指します。
日本人女性の平均閉経年齢は約50歳。つまり、40代後半~50代後半が更年期の真っただ中ということになります。
この時期、卵巣の働きが徐々に衰えていき、女性ホルモンの分泌が急激に減少します。
それが、自律神経や感情のコントロール、体温調節、代謝機能などに大きな影響を与えてしまうのです。
更年期のキーマン、エストロゲンとプロゲステロン
女性ホルモンには、大きく分けて2種類あります。
▷ エストロゲン(卵胞ホルモン)
- 骨や血管、皮膚、脳を若々しく保つ
- 自律神経を整える
- セロトニンという“幸せホルモン”の分泌を助ける
- 月経後に分泌され排卵を促します。
▷ プロゲステロン(黄体ホルモン)
- 妊娠を維持するホルモン
- 利尿・体温調整の作用
- 神経の高ぶりを抑えてリラックスさせる作用(GABAとの関係)
更年期には、まずプロゲステロンが先に減少し、その後にエストロゲンが急激に減るという流れになります。通称エストロゲンドミナントとも言います。
この「ホルモンの乱高下」が、
- イライラ
- 落ち込み
- 不眠
- ホットフラッシュ
- めまい・動悸
といった、精神的・身体的な症状として現れるのです。
「私だけじゃない」…更年期の症状と心の叫び
「どうしてこんなに涙もろくなったの?」
「怒りっぽくなった私が怖い」
「眠りが浅くて、朝がつらい…」
更年期の不調は、単なる“気のせい”や“年のせい”ではありません。
れっきとした「ホルモンの乱れによる身体のSOS」なのです。
脳にある視床下部(ししょうかぶ)という部分が、ホルモンと自律神経を司っています。
ここがホルモンの乱れに過敏に反応し、心や体に大きなゆらぎを生み出してしまうのです。
でも、どうか自分を責めないでください。
今のあなたが弱いのではなく、ホルモンが大きく変動している真っ最中なだけ。
今は「立ち止まること」が、何よりも大切な時期なのです。
運動でホルモンと自律神経をサポートする
更年期にこそ、やさしい運動が必要です。
無理なトレーニングではなく、「心地よい」と思える動きを生活に取り入れてみましょう。
ピラティス・ストレッチ・ウォーキングがおすすめ
- 呼吸に意識を向けることで、自律神経のバランスが整う
- 筋肉や関節をゆっくり動かすことで、血流や代謝が改善
- リズム運動(ウォーキングなど)でセロトニンの分泌が促進
とくにピラティスは、インナーマッスルをゆっくりと動かしながら呼吸を深めていくため、更年期女性には理想的です。
日常的にデスクワークやスマホの操作で姿勢が悪くなっている方ほど、ピラティスで“胸が開く感覚”や“呼吸がしやすくなる体感”を得られるでしょう。

食事の見直しで、ホルモンと神経伝達物質を整える
ホルモンや神経系を整えるうえで、「栄養」は欠かせない柱です。
更年期に積極的に摂りたい栄養素
栄養素 | 働き | 含まれる食材 |
---|---|---|
大豆イソフラボン | エストロゲン様作用 | 豆腐、納豆、豆乳 |
ビタミンB6・B12 | 神経伝達物質の合成 | 鮭、卵、レバー |
マグネシウム | 神経の興奮を抑える | 海藻、ナッツ、玄米 |
トリプトファン | セロトニンの材料 | バナナ、チーズ、豆類 |
「最近ちゃんと食べてないな…」と思った方は、無理な制限をせず、まずは1日3食、温かい食事を摂ることから始めてみましょう。
コンビニ食が多くなっている方は、具だくさんの味噌汁やおにぎりに変えるだけでも、体の反応が変わってきます。
まとめ:更年期は“人生の転機”。自分を大切にするきっかけに
更年期を「乗り越えるべきもの」として捉えるのではなく、
「これまでがんばってきた自分をいたわる時間」として、少し立ち止まってみませんか?
心と体は繋がっています。
ホルモンの波に抗うのではなく、「寄り添ってあげる」こと。
それが運動であり、栄養であり、生活のリズムを整えることなのです。
もし一人では不安な時は、どうか誰かに頼ってください。
あなたの心と体に寄り添ってくれる場所が、きっとあります。