バセドウ病って痩せる病気では
東京都文京区本郷三丁目Personal training studioカメシチ、管理栄養士&ピラティストレーナーの吉田尚弘です。
比較的女性の発症率が高い「バセドウ病」その予備軍を含めると発症率は100人中約2~2.5%だと言われています。
一般的にバセドウ病、または甲状腺機能が亢進するとエネルギーが過剰に使われるので、食べても痩せていきます。
その話をスタジオのお客様にすると、冗談で「痩せていいなぁ」と言ったりします。あくまでも冗談です。
でも、実際はバセドウ病で太っちゃう方もいるのです。
「え、なんで?」と思うかもしれませんね。
でも、バセドウ病で太るのには、
きちんとした“身体の理由”があります。
そもそもバセドウ病とは?
バセドウ病(甲状腺機能亢進症)は、
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患です。
甲状腺ホルモンが多すぎると、身体は常に「アクセル全開」の状態になります。
- 心拍数が上がる
- 暑がりになる
- 手が震える
- 疲れやすい
- そして、何もしなくてもエネルギーを大量に消費する
このため、未治療の時期は
食べても食べても体重が落ちる
という状態が起こります。
治療が始まると、なぜ太るのか?
ここからが、ほとんど説明されない重要な話です。
① 代謝が「異常」から「正常」に戻る
バセドウ病の未治療期、
基礎代謝は**健常者の120〜140%**にまで上昇していると報告されています
(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism)。
つまり、
今までのあなたの体は、異常に燃えすぎていたのです。
治療によって甲状腺ホルモンが正常化すると、
- 心拍数は落ち着き
- 発汗も減り
- エネルギー消費量は一気に低下します
でも、多くの人は
食事量や食習慣をすぐには変えられません。
結果どうなるか。
👉 「普通に食べているだけ」で、太ります。
これは失敗ではなく、生理的に当然の反応です。
② 痩せた分を「取り戻そう」とする身体の本能
もう一つ、非常に重要なポイントがあります。
バセドウ病で落ちた体重は、
実は脂肪だけではありません。
- 筋肉
- 骨格筋の質
- 特に「速く力を出す筋肉(タイプⅡ筋線維)」
これらが大きく失われています。
身体は治療後、
「生き延びるために失ったものを取り戻そう」とします。
しかし――
筋肉はすぐには戻りません。
その代わり、
エネルギーとして貯めやすい“脂肪”が先に増える。
これが、
「体重は戻ったのに、体型が変わった」
「前より柔らかく、締まりがない」
と感じる正体です。
「食欲が戻らない」のも、あなたのせいじゃない
甲状腺ホルモンは、
脳の食欲中枢(視床下部)にも直接作用します。
亢進期に強く刺激された食欲は、
治療後も行動パターンとして残りやすいことが分かっています
(Nature Reviews Endocrinology)。
つまり、
- お腹が空きやすい
- 食べるスピードが早い
- 食事量の感覚がズレている
これは「甘え」ではなく、
ホルモンと神経の後遺効果なのです。
「太った」の正体は、脂肪ではなく“代謝の低下”
多くの方が見落としているのがここです。
バセドウ病では、
- 筋肉量が減少
- 特に速筋線維が萎縮
することが確認されています
(Endocrine Reviews)。
筋肉は、最大の代謝器官です。
筋肉が減った状態で体重だけが戻ると、
- 見た目は太ったように見える
- でもエネルギーを燃やす力は低い
- 結果、さらに太りやすくなる
この悪循環に入ってしまいます。
だから「食事制限だけ」はうまくいかない
ここで、非常に重要なことをお伝えします。
バセドウ病後の体に、
- 食事量を減らすだけ
- 糖質を極端に抜く
- 体重だけを見る
こうした方法は、ほぼ確実に失敗します。
なぜなら、
- さらに筋肉が落ち
- 代謝が下がり
- 「食べていないのに太る体」になるからです。
本当に必要なのは「体を作り直す」という視点
バセドウ病の治療後に必要なのは、
「痩せる」ことではありません。
もう一度、代謝できる体を取り戻すことです。
- 失われた筋肉を回復させる
- 特に、日常動作を支える筋線維を目覚めさせる
- 無理な制限ではなく、体が使えるエネルギーを整える
これは、時間がかかります。
でも、確実に変わります。
最後に:あなたの体は、壊れていない
バセドウ病で太ったあなたの体は、
- だらしないわけでも
- 弱いわけでも
- 失敗したわけでもありません。
ただ、
一度、極端な環境を生き抜いた体なだけです。
だからこそ、
責める必要はありません。
理解して、
正しい順番で、
もう一度整えていけばいい。
体は、必ず応えてくれます。
バセドウ病を発症し治療中に太ってしまった方でダイエットをご希望の方は
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参考文献(エビデンス)
- Biondi B, Cooper DS. Endocrine Reviews, 2008
- Dale J et al. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 2001
- Brenta G et al. Thyroid, 2011
- Schwartz MW et al. Nature Reviews Endocrinology, 2017

