東京都文京区千石・本駒込パーソナルトレーニングスタジオKame7の管理栄養士&トレーナーの吉田尚弘です。
今まで三大栄養素である糖質・脂質・たんぱく質を紹介し、糖質&脂質、たんぱく質では体内に入ってからの流れがまったく違うことをお伝えしてきました。糖質と脂質は主にエネルギー源として使われ、蓄えることができるのに対して、たんぱく質は体を作る材料であり蓄えることができない栄養素なのです。今回はそんなたんぱく質の細かな役割から構造までを解説します。近年、たんぱく質摂取を推奨する動きがありますが、それがなぜなのか?理解できると思います。
▼ 目 次
体たんぱく質
たんぱく質といえば、肉や魚または豆腐などの大豆食品を思い浮かべると思います。当スタジオでもこれらのたんぱく質は大切なので積極的に召し上がってくださいとお話しています。なぜか?
これらのたんぱく質は、そのままでは吸収されず最終的にはアミノ酸にまで分解されて初めて腸から吸収されます。そして吸収されたアミノ酸は、体の材料として再びたんぱく質に合成されて必要な場所に運ばれます。そんなたんぱく質ですが、役割として大きく二つに分けることができます。構造たんぱく質と機能性たんぱく質です。
<構造たんぱく質>
構造たんぱく質とは軟骨、爪・髪・皮膚など体を構成するたんぱく質です。コラーゲンやケラチンなど。
<機能性たんぱく質>
体内の化学反応に関与するたんぱく質を指します。
消化吸収に関わる酵素アミラーゼ。ペプシンや、ホルモン類、筋肉の材料であるアクチン・ミオシン。抗体、血液中のたんぱく質アルブミンなどがあります。こうやって見ると私達の体の殆どはたんぱく質でできていると言っても過言ではありませんね。
実は、これらの体内のたんぱく質は常にアミノ酸にまで分解され、また別の必要な場所で合成されて体たんぱく質になります。分解と合成を繰り返しているわけです。もし、たんぱく質の摂取量が少ない場合、生きていく上で最も重要な部分(血液やホルモン等)にアミノ酸は使われますので、最も必要度が低い筋肉は分解されて減っていきます。筋肉が減るという事は、代謝が落ちて太りやすくなるばかりか、体力も落ちてしまうのです。なのでたんぱく質はしっかり摂る必要があるわけですね。
アミノ酸について知ろう
もう少し詳しく見てみましょう。アミノ酸とは、たんぱく質を構成する有機化合物です。正確にはアミノ基とカルボキシル基と呼ばれるものがくっ付いたものですが、まぁ、そんな事はどうでもよいです。大事なのは、私達の体はたんぱく質で構成されていますが、それはイコール、アミノ酸の集合体という事です。私達の体は20種類のアミノ酸で構成されていますが、そのうちの9種類は体内で合成することができないため、必ず食べ物から摂取しなくてはいけません。それを必須アミノ酸といいます。これがとても重要なんですね。この必須アミノ酸は摂取バランスが重要で、これはよく桶に例えられます。
参考記事 アミノ酸とは e-ヘルスネット
桶の板がそれぞれ必須アミノ酸として、ちゃんとした桶になると水を入れてもこぼれることはありません。それが左側のアミノ酸バランスが良い桶です。しかし、右側の桶はアミノ酸のバランスがよくない場合です。一か所だけ板が短くなっています。これは1種類の必須アミノ酸が少ないことを意味し中に入って水はそこからこぼれてしまいます。つまり必須アミノ酸は1種類でも少ないと全てのバランスが悪くなるという事なのです。このアミノ酸のバランスを通常、アミノ酸スコアという数値で表します。このスコアは最高を100とし色々なたんぱく質食品で確認することができます。
食品 | アミノ酸スコア |
肉類 | 100 |
卵 | 100 |
ヨーグルト | 100 |
豆腐 | 82 |
枝豆 | 92 |
白米 | 65 |
食パン | 44 |
ブロッコリー | 80 |
肉類や魚類はスコアが100になっていますが、これは動物は人間とアミノ酸の構成がかなり近いという事です。そして大豆食品はやはり植物なのでやや低め、米などの炭水化物、ブロッコリーなどはかなり低い数値になっています。米や食パン、野菜にもアミノ酸が含まれているという事がわかりました。
どんなたんぱく質を摂るべきか
このように、アミノ酸スコアから見るかぎり、やはり肉や魚はアミノ酸スコアが100なので積極的に摂るべきだと分かります。しかし、通常の食事はご飯があり、主菜、副菜と何種類かのおかずを食べます。無理に単品でアミノ酸スコア100の食品を摂らなくても、食事全体でバランスが良ければいいわけです。
これは、日本人の食事でとても優れている点なのですが、実は米飯と大豆食品。単体ではアミノ酸スコアは高くないのですが、これを組み合わせることでお互いの足りないアミノ酸を補えるのです。例えば納豆ご飯にすることでたんぱく質してバランスが良くなるわけです。素晴らしい!
ご飯と味噌汁、豆腐などもそうですね。たんぱく質というと何となく動物性のものをと考えがちですが、こうやって植物性たんぱく質も足りない部分を補ってあげれば問題ないわけです。昔からの日本の食事スタイルは優秀なんですね。ただ、それだけでは活動エネルギーは不足しますので肉や魚を適度に摂りながら、大豆食品も併せて摂ることが大切だと思います。
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